「昔から続けてきた書道の経験を活かして、教室を開いてみたい」 そう思ったとき、期待と一緒にふと頭をよぎるのは「一体いくらかかるんだろう?」という不安ではないでしょうか。
ピアノ教室のように防音室や高価な楽器が必要なわけではないので、書道教室は比較的低予算で始められる習い事と言われています。でも、実際に準備を始めてみると「あ、これも必要だった」「ここの費用を忘れていた」ということが意外と多いんです。
今回は、書道教室ならではの事情を踏まえた「リアルな初期費用」について、一緒に紐解いていきましょう。
書道教室の開業にかかる初期費用の目安
まずは、ざっくりとした全体像を把握しましょう。書道教室を開く場合、大きく分けて「自宅開業」と「テナント(貸し会場)開業」の2つのパターンがあります。それぞれの目安は以下の通りです。
- 自宅開業の場合:10万円〜30万円程度
- テナント・貸し会場の場合:50万円〜150万円以上
「えっ、自宅なら0円でできるんじゃないの?」と思われた方もいるかもしれません。確かに、リビングのテーブルをそのまま使えば場所代はかかりません。しかし、生徒さんを招く以上、生活感を消したり、汚れ対策をしたりと、最低限の環境整備にはやはり費用がかかります。
一方、テナントを借りる場合は、物件の取得費(敷金・礼金)や内装工事費が大きく乗っかってきます。公民館などの公共施設を都度借りるスタイルなら、初期費用は自宅並みに抑えられますが、道具を毎回運搬する手間や、予約抽選のリスクがあることも覚えておきましょう。
意外と見落とす?書道特有の設備・備品代
一般的な学習塾などとは違い、書道には「墨(すみ)」という特殊なアイテムが存在します。これが初期費用を考える上で、実はとても重要なポイントになるんです。
1. 床と壁の汚れ対策(内装費)
子どもたちが筆を持つと、どうしても墨が飛びます。うっかり硯(すずり)をひっくり返してしまうこともあるでしょう。 自宅のリビングで始める場合でも、畳や高価なカーペットの上に墨が落ちたら大変です。汚れても拭き取れるクッションフロアを敷いたり、壁の下半分に汚れ防止シートを貼ったりする対策が必要です。これに数万円〜の予算を見ておきましょう。
2. 机と椅子の選び方
「家にあるダイニングテーブルでいいや」と思っていませんか? 正座で書くスタイルなら座卓が必要ですが、最近は「椅子スタイル」の教室も増えています。ここで注意したいのが机の「高さ」と「安定性」です。ぐらつく机では良い字は書けませんし、子どもたちの体格に合わない高さだと姿勢が悪くなります。 書道専用の机を揃えるのが理想ですが、ニトリやIKEAなどで天板がしっかりした会議用テーブルを代用する先生も多いですよ。
3. 水回りの整備
筆や硯を洗う場所、どうしますか? 自宅の洗面所を生徒さんに使わせる場合、墨汚れで真っ黒になることは覚悟しなければなりません。また、排水管が詰まるリスクもあります。 本格的にやるなら、教室専用の「スロップシンク(底の深い流し)」を設置する工事が必要になることも。これが意外と高額で、工事費込みで10万〜20万円ほどかかる場合があります。
生徒が集まる教室にするための広告宣伝費
素晴らしい教室環境ができても、知ってもらわなければ生徒さんは集まりません。初期費用の中で、絶対に削ってはいけないのがこの「集客のための費用」です。
まずは地域の掲示板やポスティング用のチラシ作成。デザインを自作してネット印刷を使えば、5,000円〜1万円程度で数千枚作れます。 そして今は、保護者のほとんどがスマホで教室を探す時代です。ホームページやSNSの整備は必須と言えるでしょう。
「ホームページを作る予算なんてない…」という方は、無料や低価格で掲載できる教室検索サイトを賢く利用するのがおすすめです。最初から数十万円かけて立派なサイトを作る必要はありません。まずはネット上に「教室の存在」を表示させることが第一歩です。
開業資金を抑えつつ質を落とさない工夫
予算は有限ですが、生徒さんの満足度は下げたくないですよね。そこで、先輩先生たちが実践している節約のアイデアをいくつかご紹介します。
- 道具は「まとめ買い」を活用する 半紙や墨液などの消耗品は、書道用品専門店や問屋の「教室会員」になると割引価格で購入できることがあります。開業前に登録を済ませておきましょう。
- 中古品や譲渡品を探す 机や椅子、ホワイトボードなどは、リサイクルショップやジモティーなどで掘り出し物が見つかることも。「閉室する先生から譲り受けた」という話もよく聞きます。地域のネットワークを大切にしましょう。
- DIYで温かみを出す 靴箱や棚などは、ホームセンターで木材を買ってきてDIYするのも素敵です。手作りの温かさが、教室のアットホームな雰囲気につながります。
初期費用回収のシミュレーションをしてみよう
最後に、少しだけ現実的な計算をしてみましょう。 例えば、初期費用に30万円かかったとします。月謝が5,000円だとすると、単純計算で60人分の月謝で元が取れる計算です。
もし生徒さんが5人集まれば、12ヶ月(1年)で回収できます。10人集まれば半年です。 こう考えると、「30万円」という数字も、決して回収不可能な金額ではないと思えませんか?
大切なのは、最初から完璧を目指しすぎないこと。「生徒さんが増えたら、良い机に買い替えよう」「利益が出たら、看板を新しくしよう」。そんなふうに、教室と一緒に少しずつ成長していくスタンスで大丈夫です。
まずは無理のない範囲で、あなたらしい書道教室の第一歩を踏み出してみてくださいね。