「いつか自分の英語教室を開けたらいいな」
そう思い描きながらも、「今の英語力でプロとしてやっていけるかな?」「生徒さんは本当に来てくれるだろうか」と、最初の一歩を踏み出せずにいませんか?
その不安、とてもよく分かります。特に英語教育の世界は、大手英会話スクールから格安のオンライン英会話、学童保育の英語コースまで選択肢が溢れています。「個人の教室が入り込む余地なんてあるの?」と思ってしまいますよね。
でも、安心してください。実は今、「画一的なマニュアル指導ではなく、我が子の性格に合わせて見てほしい」という保護者のニーズが高まっています。「先生との距離が近い」「地域に根ざしている」「成長を長く見守ってくれる」。これらは、大手やAIには真似できない、個人教室だけの強力な武器です。
この記事では、英語教室のはじめ方を5つのステップに分けて、より具体的かつ実践的に解説します。単なる開業手順だけでなく、長く愛される教室にするための「中身」の話もお伝えしますね。
1. どんな英語教室にしたい?コンセプトを磨く
英語教室をはじめるにあたり、最初にして最大のステップが「誰に、何を届けるか」を決めることです。
「英語ならなんでも教えます!」という看板は、実は誰の心にも刺さりません。「近所のあそこの教室」ではなく、「〇〇な子におすすめの教室」と認識されることが、集客成功の第一歩です。
「ペルソナ(理想の生徒像)」を具体的に描く
まずは、どんな生徒さんに来てほしいか、具体的にイメージしてみましょう。
- 英語が初めての未就学児:
歌やダンス、工作を通じて「英語=楽しい」という種まきをする教室。保護者との信頼関係作りが鍵。 - 学校英語に苦手意識がある中学生:
文法の「なぜ?」を丁寧に解説し、定期テストの点数を上げて自信を取り戻させる「補習型」教室。 - 将来留学したい高校生・大人:
実践的な会話やディスカッションを中心にした「サロン型」教室。
例えば、「人見知りで、大手のグループレッスンだと一言も喋れなかった子」をターゲットにするなら、「少人数制・アットホーム・日本人講師による安心感」が最強の強みになります。
競合リサーチで「空いている席」を探す
あなたの商圏(通える範囲)にどんな教室があるか調べてみましょう。もし「受験対策バリバリの塾」が多いなら、「楽しく会話中心の教室」にはチャンスがあります。逆に「遊び中心の英会話」が多いなら、「英検合格を目指す教室」が保護者の悩みを解決するかもしれません。
2. カリキュラムと教材選定のリアル
個人で英語教室をはじめる際、多くの先生が一番悩むのが「何をどう教えるか」です。「自分で全部作らなきゃ」と気負っていませんか?
実は、最初は市販の質の高いテキストを軸にするのが成功の近道です。オックスフォード大学出版局やピアソンなど、世界中で使われているELT教材(英語指導用教材)は、第二言語習得論に基づいて体系的に作られています。
60分レッスンの構成例(小学生向け)
教材が決まれば、レッスンの流れ(タイムマネジメント)も作りやすくなります。
- Warm-up(5〜10分):
英語モードへの切り替え。いつもの挨拶の歌、天気、日付の確認など。ルーティン化することで子供たちが安心します。 - Review(5〜10分):
前回の復習。宿題のチェックや、前回習った単語のフラッシュカードなど。 - Main Lesson(25〜30分):
テキストを使った新しい学び。「導入→練習→実践」のサイクルを意識します。ここで先生のオリジナリティ(分かりやすい説明や面白い小道具)を発揮しましょう。 - Activity/Game(10分):
今日習った表現を使ったゲーム。最後を「楽しかった!」で終わらせることで、「また来週も来たい」と思ってもらえます。 - Wrap-up(5分):
終わりの挨拶と、保護者へのフィードバック。
このように「型」を決めておけば、準備の負担を減らしつつ、生徒さんの集中力も維持しやすくなります。
3. 開業場所と環境づくり
英語教室のはじめ方として、最もリスクが少なくおすすめなのは「自宅開業」です。家賃がかからない分、運営が安定しやすく、精神的な余裕も生まれます。
「生活感」を消して「教室」にする工夫
自宅の一室を使う場合、少しの工夫で「プロの教室」らしさを演出できます。
- 玄関からの動線を整える:
生徒さんが通る廊下に家族の靴や荷物を置かない。これだけで印象はガラリと変わります。 - 視覚情報を英語にする:
アルファベット表、世界地図、英語のポスターを貼ることで、部屋に入った瞬間にスイッチが入る環境を作ります。 - 安全面への配慮:
特に小さいお子さんを預かる場合、家具の角にガードを付けたり、割れ物は高いところに置くなどの配慮は必須です。
必要な手続きを忘れずに
自宅であっても事業を始める以上、税務署への「開業届」の提出は必要です。また、確定申告で節税メリットの大きい「青色申告承認申請書」も一緒に出しておくと良いでしょう。これらは、先生としての「覚悟」を決める儀式のようなものでもあります。
4. 生徒募集と体験レッスンの極意
準備が整ったら、いよいよ生徒募集です。ここで意識したいのは、「体験レッスン=入会のテスト」ではないということです。
集客チャネルを組み合わせる
- ホームページ・ブログ:
教育方針や先生の人柄を伝える「母艦」です。「地域名+英語教室」で検索された時に表示されるよう、MEO対策(Googleビジネスプロフィール登録)も必ず行いましょう。 - SNS(Instagramなど):
レッスンの様子を動画で伝えるのに最適です。子供たちの楽しそうな表情(スタンプで顔を隠しても雰囲気は伝わります)や、教材の紹介など、「通っているイメージ」を持ってもらうことが大切です。 - ポータルサイト(OK!iKOなど):
習い事を探している意欲の高い保護者に見つけてもらいやすくなります。
体験レッスンで伝えるべきは「未来」
体験レッスンに来た保護者は、「良い授業かどうか」以上に「この先生ならうちの子を任せられるか」を見ています。
授業スキルを見せることばかりに気を取られず、保護者の話を聞く時間を大切にしてください。「英語を習わせようと思ったきっかけは?」「今の悩みは?」とヒアリングし、「うちの教室なら、こう変われますよ」と未来を提示してあげることが、入会への一番の近道です。
5. トラブルを防ぐ「教室規約」と料金設定
長く教室を続けるために、避けて通れないのが「お金」と「ルール」の話です。
なあなあにしない「規約」作り
個人教室で一番多いトラブルは、振替レッスンと退会に関するものです。
- 「当日の欠席連絡は振替できません」
- 「退会・休会は1ヶ月前までに申し出てください」
- 「お月謝は前月末までにお願いします」
こうしたルールを入会時に書面で説明し、同意をもらっておくことは、あなた自身を守るだけでなく、真面目に通ってくれる他の生徒さんを守ることにもつながります。「優しい先生」と「ルーズな先生」は違います。ルールがあるからこそ、信頼関係が生まれるのです。
自信を持って価格を決める
「経験が浅いから」と、安すぎる月謝設定にするのは危険です。安さを売りにすると、「安ければどこでもいい」という層が集まりやすくなります。
教材費、光熱費、そして何より「授業準備にかけるあなたの時間と情熱」。これらを加味して、適正な価格を設定しましょう。自信を持って価格を提示することで、「価値のわかる」生徒さんが集まってくれます。
あなたの「好き」が、誰かの世界を広げる
英語教室をはじめることは、単に英語を教えるだけではありません。あなたの教室を通じて、生徒さんが「海外に行ってみたい」「もっと勉強したい」と目を輝かせ、新しい世界への扉を開くお手伝いをすることです。
最初は生徒が一人でも、その一人の人生に大きな影響を与えることができます。それはとても責任があり、同時に震えるほどやりがいのある仕事です。
準備することは多いですが、一つひとつクリアしていけば必ず形になります。まずはOK!iKOに情報を登録して、あなたの教室の存在を地域に知らせることから始めてみませんか?未来の生徒さんが、あなたを待っています。