「昔から英語が好きだったから、自宅で子供たちに教えてみたい」 「留学経験を生かして、地域に貢献できる教室を作りたい」
ふとそんな夢を抱いたとき、最初に頭をよぎるのが「でも、私には教員免許も特別な資格もないし……」という不安ではないでしょうか。
特に英語というジャンルは、英検やTOEIC、通訳案内士など、目に見える「スキル」が重視されがちな世界です。そのため、「ネイティブレベルじゃないとダメなのでは?」「高得点の資格がないと生徒が集まらないのでは?」と、最初の一歩を踏み出す前に足踏みしてしまう方が本当に多いのです。
でも、結論からお伝えさせてください。英語教室を開業するために、法的に必須となる資格は一つもありません。
実際、地域で長く愛されている英語教室の先生の中には、特別な資格を持たずにスタートした方もたくさんいらっしゃいます。では、資格がない先生とある先生、そして「選ばれる教室」にはどのような違いがあるのでしょうか。
この記事では、英語教室の開業における資格の考え方と、資格以上に大切にすべき「教室作りの本質」について、具体的なステップとともにお話しします。
英語教室の開業に「必須の資格」はありません
まず安心していただきたいのが、英語教室(英会話スクール)は、美容室や病院のように「国家資格がないと開業してはいけない」という業種ではないということです。
極端な話をすれば、「今日からここを英語教室にします!」と宣言し、税務署に開業届を出せば、誰でもその日から「英語の先生」になれます。
しかし、ここで重要になるのが「誰を対象にするか」です。
大人向けと子供向けでは求められるものが違う
もしあなたが、「ビジネス英語」や「TOEIC対策」を教える大人向けのスクールを開きたいのであれば、講師自身の高い英語力や実績(TOEIC900点以上やビジネス実務経験など)が、そのまま信頼の証となります。大人の生徒さんは具体的な成果を求めてくるため、実力が伴わないと集客は難しいでしょう。
一方で、「幼児〜小学生向けの英語教室」を開く場合は、状況が少し異なります。
保護者が子供の英語教室に求めているのは、先生の完璧な文法知識よりも、以下のようなポイントであることが多いのです。
- 子供が「英語って楽しい!」と思える環境を作れるか
- 飽きっぽい子供の興味を引きつけ続けられるか
- 正しい発音のリズムを、遊びの中で自然にインプットできるか
- 子供の「できた!」を心から喜び、自信をつけさせてくれるか
つまり、子供向けの英語教室において最も重要な資格は、英語のスコアよりも「子供とのコミュニケーション能力」や「場を盛り上げるファシリテーション力」だと言えます。
それでも持っていると有利な「英語・指導資格」5選
「資格は必須ではない」とお伝えしましたが、それでも資格を持っていることで、保護者からの「安心感」につながることは間違いありません。特に、実績ゼロからスタートする開業初期においては、資格が先生のプロフィールを補強する強力な武器になります。
もし、これから準備をする余裕があるなら、以下の資格は英語教室運営において非常にプラスになります。
1. 小学校英語指導者資格(J-SHINE)
日本における子供向け英語教育の指導者を認定する資格です。「子供にどう教えるか」という指導法に特化しているため、保護者に対して「子供英語のプロである」という強いアピールになります。
2. 英検(実用英語技能検定)準1級・1級
日本で最も知名度が高い英語資格です。特に保護者世代にとって馴染みが深いため、「先生は英検1級を持っています」という事実は、無条件で「英語ができる先生」という信頼につながります。将来的に英検対策コースを作る際にも説得力が増します。
3. TESOL(テソル)
「英語を母国語としない人に向けて英語を教える」ための国際的な教授法資格です。世界基準の指導理論を学んでいるという証明になり、特に教育熱心な保護者や、帰国子女の受け入れを考える際に高く評価されます。
4. TOEIC L&R 800点以上
ビジネス英語のイメージが強いですが、やはり数字としてのインパクトは大きいです。特に800点〜900点以上あれば、ご自身の英語力の基礎がしっかりしていることの証明になります。
5. Jolly Phonics(ジョリーフォニックス)などの指導資格
近年、子供英語教育で注目されている「フォニックス(音と文字のルール)」。特定のメソッドの指導資格を持っていると、「あそこの教室に行けば、きれいな発音が身につくらしい」という口コミにつながりやすくなります。他の教室との差別化を図る上でも有効です。
資格以上に保護者がチェックしている「3つのポイント」
資格はあくまで「入り口」の信頼を作るものです。実際に体験レッスンに来た保護者が、「この教室に入会させよう!」と決断する決め手は、資格以外の部分にあります。
私がこれまで多くの教室を見てきた中で、人気教室に共通しているのは次の3つのポイントです。
1. 先生の「表情」と「声のトーン」
英語はコミュニケーションのツールです。先生自身が緊張して顔がこわばっていたり、声が小さかったりすると、子供たちは「英語=つまらないもの、怖いもの」と感じてしまいます。
資格がなくても、満面の笑顔で「Good job!!」とハイタッチしてくれる先生の教室には、自然と子供たちの笑顔があふれます。保護者が見ているのは、先生の英語力そのものよりも、「うちの子が楽しそうにしているか」「先生が子供を可愛がってくれているか」という点です。
2. カリキュラムの「一貫性」と「ゴール」
「資格がないから、とりあえず歌を歌って遊ぼう」というだけでは、残念ながら習い事として長続きしません。
保護者は「ここに通い続けたら、どうなれるの?」という未来を知りたがっています。
- 「1年後には、自己紹介が英語で言えるようになります」
- 「3年後には、簡単な絵本が自分で読めるようになります」
このように、独自のカリキュラムや成長のロードマップを提示できるかどうかが、プロの教室としての分かれ道です。市販の教材を使う場合でも、なぜその教材を選んだのか、どう進めるのかを自分の言葉で説明できるようにしておきましょう。
3. 教室の「雰囲気」と「集客ページの情報量」
どれほど素晴らしい情熱を持っていても、それが伝わらなければ生徒は集まりません。特に今は、Webサイトや検索サイトで事前に教室の雰囲気をチェックしてから問い合わせる保護者がほとんどです。
資格欄が空欄だったとしても、Web上のページに以下のような情報があれば、信頼は十分に獲得できます。
- 先生の想いや、開業のきっかけ(ストーリー)
- レッスンの様子がわかる写真(楽しそうな雰囲気)
- 「英語が苦手な子でも大丈夫」といった、親の不安に寄り添う言葉
資格の有無を気にする前に、まずは「教室の魅力が正しく伝わっているか」を見直してみることが大切です。
英語力に自信がない先生が成功するための工夫
「それでもやっぱり、発音に自信がない……」 そんな不安を抱えている先生におすすめしたいのが、「ティーチャー(教える人)」ではなく「ファシリテーター(進行役)」に徹するというスタイルです。
無理に自分の声だけですべて教えようとするのではなく、ネイティブの発音が収録されたCDやDVD、良質な英語アプリ、YouTube教材などをレッスンの中で上手に活用してください。
先生の役割は、正しい音源を聞かせた後に、「今の音、面白かったね!真似してみよう!」と子供たちを乗せたり、「今の言えたね!すごい!」とモチベーションを上げたりすることです。
実際、「私は英語が完璧ではありませんが、子供と一緒に学ぶ姿勢を大切にしています」と公言している教室が、その誠実さと親しみやすさで人気を集めているケースもあります。完璧な先生である必要はありません。子供たちの「英語が好き」という気持ちを育てる伴走者であればいいのです。
資格取得よりも先に始めるべき「教室づくりの準備」
資格取得の勉強を始めてから開業準備をするとなると、実際のオープンは何ヶ月、何年も先になってしまいます。おすすめなのは、「走りながら準備する」ことです。
まずは、どんな教室にしたいのかというコンセプトを固め、生徒募集の準備を始めましょう。
特に英語教室は、実際に生徒が集まるまでに時間がかかる傾向があります。「体験レッスンに来てくれたけれど、他の教室と比較検討される」ことも多いジャンルです。だからこそ、早めに情報を発信し、地域の人に「ここに英語教室ができるんだ」と知ってもらうことが重要です。
もし、Web集客や教室のPR方法に迷っているなら、教室検索プラットフォームへの登録から始めてみてはいかがでしょうか。
私たち「OK!iKO(オケイコ)」は、個人の教室運営者様が、手間なく魅力的な教室ページを作成できるプラットフォームです。資格の有無にかかわらず、あなたの「教育方針」や「レッスンの楽しさ」を写真や文章でたっぷりと伝えることができます。
特別なWeb知識がなくても、スマホ一つで簡単に登録でき、体験レッスンの予約管理までスムーズに行えます。資格取得の勉強と並行して、まずは「教室の看板」をWeb上に掲げてみませんか?
あなたの英語への情熱を待っている子供たちが、きっと地域のどこかにいるはずです。